改正パートタイム・有期雇用労働法(パート有期法)について
2026.08前回のパート有期社員の雇入れ時の労働条件明示事項の追加に続き、改正パート有期法について解説します。今回は、「同一労働同一賃金」への対応状況の調査結果と改正されましたガイドラインに新たに記載された諸手当の取扱いについて、ポイントを解説します。
1.「同一労働同一賃金の対応状況調査」(労働政策研究・研修機構実施)の結果
(1)パート有期社員の待遇改善又は処遇の新設を行った企業については、基本給、賞与に対する対応が目立つ
- 基本給のUPを実施(大企業44.6% 中小企業57.0%)
- 昇給の仕組作り(大企業31.3% 中小企業40.0%)
- 賞与の支給、増額(大企業37.6% 中小企業41.1%)
- 家族手当の支給(大企業27.6% 中小企業13.1%)
- 住宅手当の支給(大企業11.4% 中小企業9.0%)
- 退職金の支給・増額(大企業10.3% 中小企業14.7%)
(2)同一労働同一賃金ルールに対する社員の意識については、関心の薄い結果に
詳しく知っている(4.4%) 大体の内容は知っている(29.8%) 内容は良く知らない(41.9%) 全く知らない・分からない(23.9%)
2.改正ガイドラインに記載された主な手当の解釈・取扱い
今までガイドラインに個別手当の記載はありませんでしたが、改正ガイドラインでは、これまでの判例・最高裁判例をもとに主な手当の解釈・取扱いが記載されました。
(1)退職金
その支給目的は賃金の後払い、功労報償等の様々な性質・目的が含まれるが、短時間、有期社員であっても通常の社員と同様の職務、責任範囲(配置転換等の範囲等)、継続雇用期間などを考慮し、通常の社員との相違に応じた均衡のとれた退職金が支給されるべき。
(2)家族手当
労働契約の更新を何度も繰り返し、実態として相応年数勤務し、又は今後も継続して雇用が見込まれるパート有期社員には、正社員と同様の家族手当を支払わなければならない。
(3)住宅手当
転居を伴う転勤の有無に応じて支給される場合は、転居を伴う転勤のあるパート有期社員に対しては、正社員と同様の住宅手当を支給しなければならない。
(4)無事故手当
正社員と業務内容が同じパート有期社員に対しては、正社員と同様の無事故手当を支給しなければならない。
(5)病気休職
正社員に病気休職期間の給与の保障を行っている場合は、契約更新を繰り返し継続的に勤務しており、今後も継続雇用が見込まれるパート有期社員には、正社員と同様の給与の保障を行わなければならない。
(6)夏季冬季休暇
パート有期社員にも、正社員と同様(但し、勤務日数の少ない者は相応)の夏季冬季休暇を与えなければならない。
(7)褒賞(永年勤続褒賞)
一定期間継続勤務した場合の褒賞であるから、一定期間継続勤務したパート有期社員には、通常の社員と同様の褒賞を与えなければならない。
(8)福利厚生施設利用
利用料金や割引等の条件について不合理と認められる待遇差を設けてはならない。
その他、「正社員の人材確保」の目的のみで不合理な待遇差は認められないこと、通常の社員の待遇引き下げによる待遇相違の解消は趣旨に反すること、無期転換社員、フルタイムパートについてもガイドラインの趣旨が考慮されるべきこともガイドラインに記載されました。
