社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
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令和8年10月1日から ハラスメント対策が強化されます

2026.09

令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策と、採用活動等における求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活ハラスメント)対策が事業主に義務付けられます。今回は、カスハラ対策について解説します。これまでのハラスメント対策で行ってきた既存の相談窓口があれば、それでよしというわけにはいきません。カスハラへの対応を社員個人に任せるのではなく、会社として守る仕組みを作ることが求められます。東京都の「カスタマーハラスメントに関する実態調査」(以下「実態調査」)を基に企業がどんなことに課題を感じ、どんな対策を講じているのか見ていきたいと思います。

東京都はたらくネット「カスタマーハラスメントに関する実態調査」
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/ryoritsu/kasuhara/chousa/index.html

カスタマーハラスメントの定義

厚生労働省の指針では、次の3つをすべて満たすものを職場におけるカスタマーハラスメントとしています。

  1. 顧客等の言動であること
  2. 業務の性質等に照らして、社会通念上許容される範囲を超えていること
  3. その結果、労働者の就業環境が害されていること

つまり、顧客からの苦情=すべてカスハラではない!

被害にあったカスハラ行為の内容~実態調査から~

被害にあったカスハラの内容について、複数回答で尋ねたところ、「継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動(頻繁なクレーム、同じ質問を繰り返す等)」が 61.6%で最も高く、次いで「威圧的な言動(大声で責める、反社会的な者とのつながりをほのめかす等)」が 55.0%、「精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の要求等)」が45.0%との結果となりました。また、被害にあった場面としては、「電話・メール」が69.5%で最も高く、次いで「対面(接客時)など」が47.9%、「訪問(営業先への来訪など)」が6.8%となっており、担当者が一人で対応している場面が多いようです。

カスハラを受けた後~実態調査から~

カスハラを受けた後の心身の影響についての質問で、従業員の回答は、「怒りや不満、不安などを感じた」が84.3%で最も高く、次いで「仕事に対する意欲 が減退した」が52.1%、「眠れなくなった」が13.7%となっています。また、カスハラを受けた後の職場でとった行動について、「会社の上司や、専門家等に相談した」が 66.2%で最も高く、次いで「何もしなかった」が24.9%となっており、何もしなかった理由としては、「何をしても解決にならないと思ったから」が54.9%で最も高く、次いで「何らかの行動をするほどのことではないと思ったから」が48.7%、「相談できる窓口や担当部署がなかったから」が19.5%となっています。個人で抱え込んでしまう従業員がいることを企業は認識する必要があります。また、その他の回答で「通院治療」という回答もあり、貴重な人財をカスハラ被害から守る会社の仕組みの検討が必要です。

企業は今、どんな対策をしているか?~実態調査から~

「相談窓口の整備」が65.7%と最も多く、次いで「実態把握のための調査」が52.9%、「カスハラを受けた従業員のケア」が50.9%、「教育・研修等の実施」が47.8%という結果でした。対策をする上での課題は、正当なクレームとカスハラとの判断の難しさや顧客等から敬遠されてしまう恐れ、経営層・管理職の意識が低いなどが挙げられています。

会社として今から準備しておきたいこと

カスハラ対策は、相談窓口を設けるだけでなく、会社の姿勢を社内外に示すこと実際に現場で動ける仕組みを整えることが大切です。店内掲示やホームページで基本方針を公表するほか、企業間取引(BtoB)の事業では契約書へのカスハラ条項を盛り込むことも重要です。あわせて、過去のクレーム事例を現場から収集し、上司へどう引継ぐか、上司はどの様に対応するか、の基準を社内で整備することや自社の社員が「カスハラをする側にならない」ための社員研修の開催もお勧めします。会社が組織としてカスハラ対策に取り組む姿勢を明確にすることが、社員の安心感にもつながります。

就業規則の整備・ハラスメント研修の実施、カスハラ対策事例など、お気軽にご相談ください。