社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

社会保険加入対象者の範囲にご注意を

2026.06

今回は、当方のクライアントが年金事務所の調査で受けました指摘を通し、改めて社会保険加入の要件について考えさせられた事案をご紹介します。今後も適用範囲が拡大される社会保険加入の要件をおさらいします。

年金事務所による調査で、短時間労働者を社会保険から抜くように指導されました

1.指摘内容の概要

6か月ほど前に入社した短時間労働者について、加入要件を満たさない社員に社会保険の被保険者資格を取得させていたとして、入社日に遡り、被保険者資格取得の取消届を提出するように是正指導を受けました。

2.会社側の言い分と調査官との交渉の内容

週の所定労働時間が20時間以上の加入要件は満たしておりませんが、業務繁忙期などは週20時間を超える可能性もあり、会社、社員とも未加入を指摘されるよりも良いとの判断で良かれと思い、加入しておりました。社員は、入社から既に何度も医療機関で健康保険(健保)での受診をしており、また、健保と国民健康保険(国保)間で療養費の保険負担分の調整がなされないと、社員が一旦、保険負担分の7割を健保に返還する必要があり、遡及して国保に切換えるため、遡及分の国保保険料の支払いも生じるため、調査官に将来に向かっての喪失手続きを願い出ましたが、全く認められませんでした。

3.最終的な結末と今後への留意点

結局、入社日に遡り、被保険者資格取得の取消届を年金事務所に提出いたしました。今後は、加入要件を満たしている社員の社会保険未加入のほか、加入している短時間労働者の加入要件の維持についても留意が必要となります。調査でこのような指摘を受けたのは、当方としても初めてです。

短時間労働者の社会保険加入要件を再確認しましょう!

再度、短時間労働者の社会保険加入要件については、次の企業区分により要件が異なります。

(1)特定適用事業所
・・・厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業
(2)任意特定適用事業所
・・・特定適用事業所ではないが、従業員の3/4の同意を得て一定の短時間労働者が社会保険に加入できることの届出をした事業所
(3)(1)、(2)以外の事業所
・・・(1)、(2)以外の社会保険の適用事業所
  1. 前述(1)、(2)の特定適用事業所及び任意特定適用事業所に2か月を超えて雇用され、次のいずれの要件にも該当する短時間労働者は、社会保険に加入させなければなりません。

    1. 週の所定労働時間が20時間以上
    2. 学生でない
    3. 所定内賃金が月額8.8万円以上
  2. (3)の適用事業所は、短時間労働者の所定労働時間が、通常の労働者と比して3/4以上であるときは社会保険に加入させなければなりません。

短時間労働者の社会保険加入要件が2026年10月以降変わる予定です!

1.2026年10月1日施行予定

特定適用事業所及び任意特定適用事業所における、現行の短時間労働者加入要件のうち所定内賃金8.8万円以上の要件が撤廃される予定です。所謂、「106万円の壁の撤廃」です。

2.2027年10月施行予定

特定適用事業所の範囲が厚生年金保険の被保険者が51人以上から36人以上に拡大されます。

以上のように、短時間労働者の加入要件が毎年、変わります。加入漏れはもちろんですが、これから算定基礎届の届出時季です。要件を満たさない被保険者がいないか再確認が必要です。