社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

2026年に予定されている法改正情報―その1

2025.12

今年も残りわずかとなりました。今月は2026年以降に予定されている法改正情報をお伝えします。

社内制度の見直しや従業員周知が必要なものばかりです。人事担当としては、今年中に概要だけでも押さえておきたいものですね。

子ども・子育て支援金制度の創設に伴う社会保険料の負担UP2026年4月改定

子育てに関する経済的支援の強化や共働き・共育ての推進を目的に、2026年4月から、子ども・子育て支援金制度が創設されます。この支援金は、(1)児童手当(2)妊婦のための支援給付(3)こども誰でも通園制度(4)育児時短就業給付(5)国民年金第1号被保険者の保険料免除などに使われます。

この支援金の財源は、従業員の給与から毎月控除される社会保険料です。今までの社会保険料率とは別に支援金率が定められます。子ども家庭庁から公開されている資料では、被保険者一人あたり、毎月300円程度の負担増と試算しています。毎年、3月に社会保険料は見直しされていますので、給与計算時には注意が必要です。

高年齢労働者の労働災害防止の推進2026年4月改定

定年延長や再雇用により高年齢労働者が増加し、高年齢労働者による労働災害の発生も増加傾向にあります。高齢者の特性を踏まえた作業環境の整備や作業内容の配慮が企業の努力義務となります。企業に求められる具体的な措置は、指針として示される予定です。現在、厚生労働省から「エイジフレンドリーガイドライン(https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000815416.pdf)」が公開されています。是非、社内で確認し、誰でも働きやすい就業環境を整備されると良いかと思います。

障害者の法定雇用率の引き上げ2026年7月改定

2026年7月からは、法定雇用率が2.7%に引き上げられます。従業員数37.5人以上の企業は、障害者雇用1人以上の対象となります。障害者を雇用しなければならない対象事業主には、以下の義務があります。対応の漏れがないように注意しましょう。

  1. 毎年6月1日時点での障害者雇用状況をハローワークへ報告すること
  2. 障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任すること

ハラスメント防止を目的とした措置の義務化

2025年6月11日公布日(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

「カスタマーハラスメント対策」「求職者等に対するセクハラ対策」として雇用管理上必要な措置を講じることが、企業の義務となります。

具体的な措置の内容等は、今後指針で示される予定です。今までも様々なハラスメント対策をされていると思います。企業としてのハラスメント防止方針を明確化、周知・啓発を定期的におこなうことが有効と感じます。また相談体制の整備・周知、ハラスメント発生後の体制について社内確認しておきましょう。

50人未満の企業における、ストレスチェック実施の義務化

2025年5月14日公布日(施行日:公布後3年以内の政令で定める日)

現行では、常用労働者数50人以上の事業所に義務付けられているストレスチェック実施が50人未満の事業所にも拡大されます。ストレスチェックや高ストレス者への面接指導の実施があり、なかなか小規模の事業所では体制を整えることは困難です。今後、実施体制や実施方法についてのマニュアル、医師による高ストレス者への面接指導の受け皿となる地域産業保健センターの体制拡充などが示される予定です。

上記の改正以外にも高市政権下で「労働基準法40年ぶりの大改正へ」とのニュースもあり、今後の動向に注目です。