熱中症予防対策は万全ですか?
2025.6まだ5月というのに、30度を超える日がありましたね。今年も早いうちから蒸し暑い夏になると予想されています。そこで気を付けなければならないのが、熱中症です。厚生労働省が公表している「令和5年の職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、1,106人(前年比279人・34%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。また、熱中症による死亡者数は31人(前年比1人・3.3%増)であり、建設業(12人)や警備業(6人)で多く発生しています。従業員の自己管理に任せるだけで良いのでしょうか。「もう少し頑張ろう」「休憩はこの仕事が終わってから…」が命取りになるのです。そこで、今年6月1日より、労働安全衛生規則が改正され、企業には熱中症対策が義務付けられます。今月は、企業に求められる対応をお伝えします。改正で対象となるのは、「暑さ指数28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業となっています。昨今の暑さを考えると、どの業種であっても対策は必要だと感じます。ぜひ夏本番になる前に、御社でも、熱中症対策をご検討ください。
ポイントは2つ!報告体制の整備と周知・手順の作成と周知
1. 報告体制の整備
労働者が熱中症の症状を自覚した場合や、他の労働者が異常を認めた場合に、速やかに報告できる体制を整備し、関係者に周知すること。
- 例)
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報告体制を掲示・周知しておく。
「現場責任者へ報告→安全な場所での休息→必要に応じて病院を受診もしくは救急車の手配」
近隣の病院リスト(診療時間・電話番号などを記載)を掲示・周知しておく。
自分だけでなく、同僚の異変に気付いたら、迷わず声をかけ、現場責任者に報告
2名体制でお互いの健康を確認や責任者の巡回
2. 症状悪化防止のための実施手順の作成と周知
熱中症の疑いがある労働者に対して、以下の措置を講じる手順を作成し、関係者に周知する。
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- 作業からの離脱
- 暑熱環境下での作業を中断させる。
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- 身体の冷却
- 体を冷やすための措置(例:冷却材の使用、涼しい場所への移動)。
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- 医療機関の受診
- 必要に応じて医師の診察や処置を受けさせる。
救急隊を要請するべきか判断に迷う場合は、消防庁などが管轄する救急安心センター事業#7119等の利用をお勧めします。
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- その他の必要な措置
- 熱中症の症状の悪化を防止するために必要なその他の措置。
これらの手順は文書化し、全従業員に周知すること。
作業環境の確認を
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- 暑さ指数(WBGT)の測定と管理
- 作業環境の暑さ指数を測定し、適切な管理を行う。
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- 休憩時間の確保
- 作業中に適切な休憩時間を設ける。
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- 水分・塩分の補給
- 労働者が適切に水分・塩分を補給できるようにする。
厚生労働省のHP(https://neccyusho.mhlw.go.jp/)では、職場における熱中症対策の動画を公開しています。是非、熱中症対策にご活用ください。
※日本語だけでなくベトナム語やネパール語などもありますので、必要な場合はぜひ活用してください。
私が小学生のころの暑さとは、桁違いです。「気合い」では、乗り越えられません。昨今の猛暑対策の冷却グッズも様々です。新作グッズをチェックしながら、個人で出来る限りの体調管理、毎日の天気予報に注目し日本の蒸し暑い夏を、乗り越えていきたいものです。