直近の雇用状況・賃上げ状況
2025.5当方のクライアントから多い相談内容の人材確保とそのための賃金制度の在り方について考えたいと思います。今回は、その相談内容と直近の雇用情勢、および賃上げに関する情報をご紹介します。
1.最近多いクライアントからの相談
- 今年は新卒を一人も採れなかった。中途採用で効果のある求人サイトや方法を教えて欲しい。
- 新卒や若年者を採用したい。効果的な施策はないか? 特に若年者の応募を増やすには?
- 若年者人材確保のために初任給はじめ給与の見直しをしようと思うが、全体的な人件費は大幅に増やしたくない。どうしたらよいか?
2.直近の雇用状況指標
(1)労働力人口(15歳以上の就業者と失業者数の合計)
2025年2月では6,933万人(全人口の62.4%)でした。就業者数は6,768万人で、前年同月に比べて40万人増加しており雇用状況は回復傾向にあります。主な要因は次世代育成支援や女性活躍支援、シニア層の65歳以降の雇用継続、外国人の就業者数の増加など労働投入量が増えたことが挙げられます。ただし労働投入量も今年あたりでピークアウトすると考えられています。15歳~24歳の若年者の労働力人口は、2024年の平均で約600万人、2019年の平均では約610万人でしたので、コロナ禍前と比較して減少しており、これはひとえに少子化による若年者人口の減少が要因となっています。
(2)完全失業率・失業者
2025年2月の完全失業率は、2.4%で前月から0.1ポイント減少しました。
2025年2月の完全失業者は、165万人で前年同月から12万人減少しました。
離職の理由は、会社都合が22万人で対前年同月比で1万人減少しています。その他、自己都合108万人で同比1万人減、うち転職理由が45万人で同比4万人減となっています。ただし、若年者の失業率は、2025年2月時点4.2%で、前月から0.5ポイント増えています。
失業率は、概ね横ばいで推移していますが、若年層では高く、これは雇用のミスマッチが若年層で顕著に表れていると言えます。
(3)有効求人倍率
2025年2月の有効求人倍率は、1.24倍で前月から0.02ポイント、前年同月比較でも0.02ポイント減少しています。
(出典:厚労省発表の一般職業紹介状況および総務省発表の労働力調査による)
3.2025年春闘・賃上げの状況
連合(日本労働組合総連合会)の春闘第4回回答集計(4月17日発表)によると、2025年の平均賃上げ率は5.37%で、前年実績(5.10%)を上回り、33年ぶりの高水準でした。
中小企業(300人未満)においても春闘における賃上げ率は、5.09%となり前年の4.42%から上昇しました。2025年度に賃金改善(ベアや賞与、一時金の引き上げ)を見込んだ企業の割合は61.9%で、調査開始以降初めて6割を超えました。業種別では、製造業63.7%、建設業66%、農林水産業65.3%など、特に人材確保が課題の業種で賃上げを見込む割合が高くなっています。
中小企業では連合が要求した6%以上を達成できなかったため、引続き大企業との格差是正のための価格転嫁などが課題となります。
(出典:朝日新聞、帝国データバンク調査、東京商工リサーチ調査による)
※次回以降で人材確保のための給与制度の見直しについて考えます。