社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

2025年の賃金改定に向けて

2025.3

春闘も本格化し「中小企業でも賃上げ6%以上」、「大卒初任給30万円超え」などの話が出ている中、賃上げの波がどのくらい中小企業にも及ぶか注目され、各中小企業とも2025年度の賃上げ、給与改定に向け思案されています。今回は、人事院の「令和6年職種別民間給与実態調査」と東京都が実施した「令和6年版中小企業の賃金・退職金事情」の2つの調査結果の一部をご紹介します。賃金見直しの参考にしていただければと思います。

1.人事院「令和6年職種別民間給与実態調査」によるベースアップ動向

同調査ではベースアップを実施した事業所は、調査対象の約5割を占め、うち一律でのベースアップを行ったケース、特定の年齢層に重点を置いて行ったケース、役職に応じて行ったケースとでそれぞれ次のような割合結果が出ています。

  1. 一律でのベースアップ・・・62.4% (うち一律定額は42.8%  一律定率は19.6%)
  2. 年齢層別でのベースアップ・・・27.0%
    1. 20代までに重点を置いたケース 22.4%
    2. 30代に重点を置いたケース 17.6%
    3. 40代に重点を置いたケース 6.8%
    4. 50代に重点を置いたケース 3.8%
    5. 60代に重点を置いたケース 0.8%
  3. 役職に重点を置いたベースアップ・・・29.9%
    1. 一般・主任級 25.9%
    2. 係長・課長代理級 10.4%
    3. 課長級以上 6.1%

以上の結果からベースアップは一律定額で実施している企業が多く、一律でないケースでは、特に20代、一般・主任級といった若年層に重点を置いたベースアップを行った企業が多いことがわかります。

2.東京都「令和6年版中小企業の賃金・退職金事情」による年齢別モデル賃金

同調査は都内の中小企業の賃金等の実態を明らかにし、行政施策の基礎資料とするとともに、中小企業の労働条件の改善と健全な労使関係の確立を目的に行われております。

都内の常用労働者300人未満(卸売り、小売り、サービス業においては100人未満)の全業種企業3500社を対象に行われ、有効回答659社分を集計しています。

年齢別・最終学歴別のモデル賃金平均的な評価の社員による所定内賃金水準として算出

年齢 扶養家族数 高卒 専門学校卒 大学卒 上昇係数
18歳

0人

205,900円

22歳

0人

226,203円

228,955円

229,507円

100

30歳

2人

279,806円

280,680円

286,146円

124.7

35歳

3人

310,329円

312,657円

325,059円

141.6

40歳

3人

341,383円

343,738円

364,786円

158.9

45歳

3人

369,282円

372,659円

399,995円

174.3

50歳

3人

395,897円

399,612円

428,178円

186.6

55歳

2人

412,554円

419,014円

451,042円

195.5

60歳

1人

416,060円

424,077円

462,979円

201.7