社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

育児休業給付金の変更について

2014.10

今回は、平成26年10月1日より、一部制度変更が行われる育児休業給付金について解説します。

1.育児休業給付金とは?

育児休業給付金とは、雇用保険の加入期間が、休業開始日の前2年間に12か月以上ある社員が、育児・介護休業法に定められている育児休業を取得した場合で、給与が支給されないまたは一定の額以下に減額され支給された場合、その収入源を補てんするために雇用保険から支給される給付のことをいいます。

2.育児休業給付金の受給できる期間は?

育児・介護休業法に定められた育児休業期間は、養育する子が原則、1歳に達する日(1歳の誕生日の前々日)まで取得することができます。また、夫など配偶者が養育する子の育児休業を取得している場合で、妻も育児休業をする場合など一定の要件に該当する場合は、子が1歳2か月に達するまで休業できます。さらに子の保育所等への入所を申し込んでいたが、空きがなく入所できない場合は、子が1歳6か月に達するまで育児休業の取得が可能です。

3.育児休業給付金の受給額

育児休業給付金の受給額ですが、休業開始直前6ヶ月間に、休業する社員に支払われた賃金額(通勤手当等も含めた総支給額)を180で除した額を休業開始時賃金日額といいますが、受給額は、休業開始から180日間は、休業開始時賃金日額の67%、それ以降、休業終了までは50%が支給されます。また給付額には、上限額と下限額があります。上限額は、一支給単位期間で285,420円(支給率67%の場合)、213,000円(支給率50%の場合)で、これを超えての支給はありません。下限額は、一支給単位期間46,230円(支給率67%の場合)、34,500円(支給率50%)で、計算された支給額が下限額に満たない場合は、下限額が支給されます。上限額、下限額は平成26年8月1日~平成27年7月31日の間の適用額です。
※支給単位期間とは、休業開始日からひと月ごとに区切った期間をいいます。給付金は、この支給単位期間ごとに支給されます。

4.育児休業給付金の支給申請

育児休業給付金は、まず育児休業を開始した段階で、前述3で説明しました直近6ヶ月間の賃金額を登録し、
併せて休業する社員が前述1で説明した雇用保険の加入期間等の要件を満たし、受給資格があるかどうかの確認の手続きを行います。実際の給付金の請求手続きは、休業開始後2支給単位期間が経過するごとに支給申請書を提出します。この手続には提出期限があり、1日でも経過してしまうと給付を受けられなくなりますので注意が必要です。

5.平成26年10月1日からの変更事項

これまで育児休業給付金は、支給単位期間中に11日以上就業してしまうと、その支給単位期間については給付金が支給されませんでした。平成26年10月1日以降に最初の支給単位期間を迎える育児休業については、支給単位期間に10日を超える就業をした場合でも、就業しているとみられる時間が80時間以下のときは、育児休業給付金が支給されます。

6.育児休業期間に賃金を支払った場合の取り扱い

支給単位期間に賃金が支払われた場合、支払われた賃金の額が、休業開始時賃金日額に支給日数をかけた額の休業180日までは13%、それ以降は30%を超えるときは、支給額が減額され、80%以上のときは給付金が支給されません。