社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

外国人雇用(その2 外国人を雇用するとき流れの基礎知識)

2019.06

前回は、外国人が日本国内で活動するための資格である在留資格について解説しました。今回は、外国人を雇用する際の流れや手続きについて解説します。

1.海外にいる外国人を新たに日本で雇用する場合の流れ

  1. まずは外国人の雇用候補を決定し、その外国人が日本に来る前に、日本で就業させようとする業務に就労できる在留資格が取得できるかを確認します。目的の在留資格の取得が可能かどうかは、その外国人等の学歴等で決まっています。
  2. 在留資格の取得が可能であることが確認出来たら、雇用契約書を作成し、外国人がその内容を十分理解し、承認したうえで雇用契約を締結します。雇用契約書は、外国人の母国語を併記することが望まれます。雇用契約の締結も外国人が日本に来る前に行います。
  3. 雇用契約を締結後に、受け入れ企業が入国管理局に在留資格認定の申請手続きを行い、「在留資格認定証明書」の交付を受けます。手続きに必要な書類は、企業規模によって異なり、大企業のほうが簡略化されています。
  4. 「在留資格認定証明書」が交付されたら、原本を外国人に送付します。
  5. 「在留資格認定証明書」を受け取った外国人は、それを添付し母国の日本大使館、領事館で日本入国のためのビザ(査証)の発給を受けます。
  6. 外国人は、ビザが発給されたのち、ビザが添付されたパスポートを持って日本に入国します。
  7. 受け入れ企業は、外国人が入国したら受け入れ、社員として必要な社会保険等の手続きを行い、日本での生活のための住居や外国人本人が行う行政手続他、生活のための支援を行います。
  8. 就業を開始します。日本に不慣れな外国人が働きやすい環境を整備し、定着を図ります。

2.既に在留資格を持って日本に滞在する外国人を雇用する場合の流れ

  1. 在留カードを確認し、その外国人を会社が求める仕事に就労させられるかどうか確認します。
  2. 新卒者を雇う場合は、在留資格が「留学」か「特定活動」であることを確認します。
  3. 新卒の外国人を採用しようとする場合は、必要となる在留資格がその外国人の学歴等から取得可能かどうか確認し、可能であれば在留資格を「留学」や「特定活動」から変更する許可申請を受け入れ企業が入国管理局に行います。
  4. 外国人を中途採用する場合で、既に保有する在留資格と異なる在留資格の許可が必要な場合は、外国人の学歴等から必要な在留資格の取得が可能かどうか確認します。
  5. 中途採用する外国人の在留許可の変更が可能であると確認できた時は、受け入れ企業が在留資格変更許可申請を入国管理局に行います。
  6. 新たな「在留資格認定証明書」が交付後、雇用契約書を作成し雇用契約を締結します。雇用契約書は、外国人の母国語を併記するなど、その内容が十分理解できるように配慮します。
  7. 受け入れ企業は、社員として必要な社会保険等の手続きを行い、就労や生活のための住居や外国人本人が行う行政手続他、生活のための支援を行います。
  8. 就業を開始し、働きやすい環境を整備し定着を図ります。

次回以降は、既に運用されている「技能実習」と4月から新設された在留資格「特定技能」について解説します。