社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

退職理由と雇用保険の失業給付(その2)

2014.02

今回は、前回に引き続き退職理由と雇用保険の給付および関連事項について解説します。

1. 退職理由での受給者区分よる給付の違い

前号で退職理由による受給者区分を解説しましたが、受給者区分により基本手当の給付内容が違います。それぞれの受給者区分による給付内容は次の通りです。

(1)通常の受給者(いわゆる自己都合退職者・定年や雇用契約期間満了での退職者・懲戒解雇による退職者など)

被保険者期間/離職時年齢 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
65歳未満 90日 120日 150日
障害者等の就職困難者 45歳未満 300日
45歳以上65歳未満 360日

(2)特定受給資格者(いわゆる会社都合退職者など)および一定の特定理由離職者

被保険者期間/離職時年齢 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上20年未満 20年
以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 -
30歳以上35歳未満 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日
障害者等の
就職困難者
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日

表中の日数は基本手当日額を受給できる日数です。基本手当日額は、離職日以前6ヶ月間の賃金額を180で割って算出した賃金日額に5割から8割の給付率を乗じて算出した額です。給付率は、賃金日額により変わってきます。また基本手当日額には離職時の年齢ごとに上限が定められています。

2. 失業給付(基本手当)の受給期間

失業給付(基本手当)の受給期間は、原則、離職日の翌日から1年間です。上記の表の日数を離職してから1年の間に受給することになります。ただし、離職後、妊娠・出産・育児や家族の介護、病気などによりすぐに職探しができない場合は、ハローワークに届出することにより受給期間を最長、離職日の翌日から4年間延長することができます。また上記表の日数を全て受給せずに、早期再就職した者には再就職手当と呼ばれる就職支度金的な給付が行われます。

3. 失業給付(基本手当)の支給開始時期(待機期間と支給制限期間)

失業給付は、失業したら自動的に支給されるものではありません。また、離職してすぐに受給できるわけでもありません。離職後、ハローワークに求職の申し込みし、7日間の失業している期間を経過したのちに支給が開始されます。この7日間を待機期間といいます。また、自己都合や懲戒解雇により退職した場合は、3か月間の給付制限があり、求職の申し込み後、7日間+3か月経過後から基本手当の支給が開始されます。
なお、定年退職や雇用期間満了により離職した場合は、支給制限期間はありません。

次回も、離職理由と失業給付にまつわる内容について解説します。