社会保険労務士法人 トレイン

人事・労務便り
人事・労務のポイント

労働法の基本講座第2回 「休日」

2013.04

今回は、休日および時間外勤務について、労務管理の実務的な視点から解説します。

1. 休日とは?

休日とは、特定の日について1日全く労務の提供義務がない日を言います。ですから休日には半日単位や時間単位と言う概念はありません。
年次有給休暇については、半日や時間単位での取得が認められていますが、これは、年次有給休暇を取得する日が勤務日で当初から労務提供を免除された休日ではないからです。
あくまでも年次有給休暇は休日ではなく、休暇であることによります。

2. 法定休日と所定休日

法定労働時間」と「所定労働時間」。よく耳にすると思いますが、その違いを説明します。
(1) 法定休日・・・労働基準法では、「1週に1日または1月に4日の休日を与えなければならない」とされています。この週に1日または月に4日の休日を法定休日と言います。法令では、法定休日を○曜日にしなければならないとは定められてはおらず、週に1日、または月に4日しか休日がなければそれらは法定休日となります。
土・日休日の週休2日制の場合、土、日のいずれかが法定休日となります。労務管理の運用上、就業規則等で「当社の法定休日は○曜日」と任意の曜日を法定休日と定めてしまうケースが一般的です。
(2) 所定休日・・・所定休日とは、法定休日のほか会社が独自に定めた休日をいいます。
週休2日制で土、日曜日を休日と定めた場合、これらの休日は会社独自の所定休日で、そのいずれかが法定休日に該当することになります。日曜日を就業規則で法定休日とした場合は、土曜日が所定、日曜日が法定の休日となります。

3. 休日勤務と割増賃金

休日を法定と所定に区分けする理由は、休日勤務した場合、その区分により支払いの義務が生じる割増賃金の割増率が変ってくるからです。
所定休日勤務は、1.25倍 法定休日勤務は、1.35倍の割増し賃金を支払わなければなりません。
所定休日については、通常の勤務日の残業(時間外勤務)と同じに扱うことが可能です。就業規則等で特に法定休日の曜日を定めていない場合は、1週で1日または月で4日の休日が取れていない場合は、その日数分法定休日勤務が行われたことになります。
法定休日がキープされていれば、その他の休日勤務は所定休日に勤務したことになり、割増率は1.25倍で足りることになります。

4. 休日の振替

休日の振替とは、当初定められていた休日と勤務日を業務の都合上、前もって入れ替えることです。
例えば土・日休日の会社で、業務の都合上、どうしても日曜日に勤務する必要がある場合に日曜日と直前の金曜日を入れ替えて金曜日を休日、日曜日を勤務日としておきます。
こうすると金曜日に休んでも欠勤にはならず、また日曜日に勤務しても休日勤務の扱いにはならず、3で説明した割増賃金の支払いも不要になります。
これが休日の振替です。休日の振替を行う場合は、同じ給与計算期間内で行うことが必要です。

5. 休日勤務の代休

休日の振替を行わず休日勤務した場合は、原則、割増賃金を支払います。
ただし、同じ給与計算期間内で、休日勤務した代わりに勤務日に休みを取らせた場合、休日勤務分1.25または1.35倍の日給(割増賃金)が支払われ、勤務日に休んだ分1.00倍の日給が控除されます。
差引、休日勤務の割増部分である0.25または0.35の日給分を支払えばことが足りる運用が「代休」です。ただし、給与締日をまたいでこの運用をすると、休日勤務した賃金をその月で精算しないことになり、労働基準法に定める「賃金の全額払い」に違反することになります。
また代休の主旨は、休日勤務による過重労働を防止するために、社員からの申し出により行うものです。
休日勤務したら割増賃金を支払い、そこで休日勤務に対する会社の債務は消滅します。会社が代休取得を強制し、割増賃金支払いの義務を逃れるためのものではありませんのでご注意ください。